立てば芍薬、座れば牡丹―。美しい人の容姿や立ち振る舞いに例えられる牡丹。風格と気品が漂う花の姿から「百花の王」とも呼ばれています。
東京都八王子市千人町にあるお寺、宗格院には、毎年4月になると大輪の牡丹が境内に咲き誇ります。その数、なんと約130種類。口コミで評判が広まり、牡丹の時期は2000人~3000人が訪れるそうです。

花の香りに誘われて…と訪れる人も多いそう
「七福神」「満天紅」「赤銅の輝」…牡丹の花の名前って面白い
牡丹には1株ごとに品種名カードが添えられています。お寺の名前が入った「宗格の誉」、お殿様の名前「不昧公」、「春爛漫」…。名前を聞くだけでも楽しくなってきますね。
牡丹の花というと「赤」をイメージする人が多いかもしれませんが、宗格院の牡丹はボルドーやピンク、白、紫など色も豊富。中には黄緑色の「まりも」というめずらしい品種もありました。八重咲で、花が開くと白くなるのだそう。境内の花の管理をしている山崎誠さんは「花が開かないことも多い品種なのですが、ここ数年は開いた姿を見ることができています」と教えてくれました。

同じ赤系でもさまざまな色があります

上品な色合いと花弁の豪華さに心惹かれます

黄緑のつぼみから白い花に変わる「まりも」
山崎さんは週に2~3日、開花時期はほぼ毎日、牡丹の手入れに訪れているそうです。
子どもの頃から花を育てることが好きで、自宅の畑でもパンジーやビオラ、アジサイ、キンモクセイなどさまざまな花を育てているのだとか。
手入れをする時にはいつも花に「元気だね」「頑張れよ」「すごいね」とやさしく声をかけているそう。「花も生きものなので、ポジティブな言葉をかけられるとよく咲いてくれるんです」と山崎さん。
牡丹の花は雨に弱いので、雨の翌日には朝から駆け付けて花をふるって水を落としてあげるのだとか。「こうすると花が長持ちするんですよ」と素敵な笑顔を見せてくれました。

花の手入れをしている山崎さん
「著名な牡丹園に比べれば株数は多くありませんが、一株に多くの花が咲くことや花が大輪なので見ごたえがあると思います。赤と白が混ざった『島錦』、20年ものの『社』(やしろ)などをぜひ見てほしいですね」と山崎さん。
品種によって開花時期は違いますが例年、咲き始めの4月上旬から4月いっぱいまで楽しめるようです。
せきの病気にご利益?

宗格院にある八角地蔵堂「寶珠閣」
宗格院には、八角形が特徴的な地蔵堂があります。
そこには、八王子七福神の「寿老尊」と開基山本弥衛門忠房の娘のせき供養のためにつくられた「せき地蔵」が祀られていて、せきの病気にご利益があると言われています。せき地蔵尊の「除せき祈願のお札」(1枚500円)は、せきだけでなく、他の願意も書けるようになっています。
赤色のお札は貼って頂き、白色のお札は身につけておくようです。
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